池袋の東京芸術劇場シアターウエストで公演中のWBB vol.6 『そして、今夜もニコラシカ!』観劇して参りました!
久し振りのWBBと平野良くん!
以下感想・レポートです。絶賛ネタバレありますのでご注意ください。
感想
WBBの舞台はWBB vol.4『川崎ガリバー』振りの2作品目なのですが、エネルギーに溢れた舞台でした!
他のWBBの作品を知らないのでそこまで偉そうに語れないのですが、似通った演出があったために全く知らない舞台を観ているというよりかは、懐かしさを感じました。
観劇後感想:二日酔いの気持ち悪さと似た気持ち
『川崎ガリバー』の結末にはすごくもやもやした私ですが、正直な話、今回もすっきり終われなかったです。
場面場面ではすごくハラハラしたり、笑いながら観てまして、一部を切り取りながらの感想で言えば「面白い!」の一言に尽きますが、全体の展開、話のストーリーとしての感想と言われると「おも……しろ、い……?」ともやもやした感想になります。
私個人的な好みとして、きっとすっきり終わるような結末が好きなんでしょうね。
今回一人の悪であった若嶌(わかしま)役の進藤学さんは形式的には成敗されましたが、明石役の前山剛久さんは裁かれることなく終わりました。
謎の女、舞役の高橋ユウさんに感情移入をしながらだと本当にすっきりしない!
結末は『川崎ガリバー』のほうが後味は悪かったですが、 『そして、今夜もニコラシカ!』も心に何か引っかかったままの印象です。
まるで二日酔いの気持ち悪さ。こういう感想も意識してのニコラシカなのでしょうか。
結末感想は上記の通りですが、ノリはすごく好きな舞台でした。
「うぇーい!wwwニコラシカー!www」の乾杯が好きです。男ってバカだなと。笑
最初で弁護士の勝訴敗訴の話が出てきていたので、「難しい話か……?」と身構えたのですが、本編にほとんど関係なくてほっとしました。
WBB vol.4『川崎ガリバー』との比較
上記でも記載しておりますが、「『川崎ガリバー』と似てる!」と思った箇所がありました。
今舞台と比較して、それぞれの感想も交えながら以下2点を挙げます。
時間のループ
『川崎ガリバー』はがっつり時間ループ物でした。
タイムスリップマシンの名前が作品名である「川崎ガリバー」。
金儲けをするために江戸時代にタイムスリップをしますが、思うようにいかない結果に納得がいかないために何度かタイムスリップを繰り返します。
繰り返すタイムスリップの中で、他の時間軸の行動と複雑に絡み合っていました。
そして今回の『そして、今夜もニコラシカ!』はあらすじにもある通り、
>高頭、大鳳の二人が目覚めるとそこは留置場。
そうなんです、目覚めたら留置場なんです。
ニコラシカを飲んだ夜、その後の記憶がぽっかりとなくなっていて、起きたら留置場。
2人はすぐに釈放されますが、3人で呑んでいたはずなのにいなくなっている寺尾が追われていることを知り、おぼろげな記憶を頼りに訪れた場所で、キッカケとなる人・物に出会いながら記憶を蘇らせていきます。
一度進んだ時間をもう一度繰り返す、この演出が『川崎ガリバー』、『そして、今夜もニコラシカ!』の二作品で似ています。
ただ、『川崎ガリバー』はタイムスリップで同じ時間を何度も体験する一方、『そして、今夜もニコラシカ!』では空白の時間を埋めるため、再現としての演出。
『川崎ガリバー』は何度も同じ場面を繰り返すために少し「くどい!」と思う箇所がありましたが、『そして、今夜もニコラシカ!』では全てが新しい場面だったために飽きることなく観劇できました。
チカチカと全体的に暗い中での照明遣い、回想が始まる合図であるのも分かりやすかったです。
殺陣
『川崎ガリバー』は江戸時代が舞台、反幕府派の武士と幕府側で争うシーンがありました。
(反幕府派チュウヤ役の上鶴徹さんの槍捌きがすごく印象に残ってます。凄かったんですよ!)
今公演 『そして、今夜もニコラシカ!』、唯一の女性キャストである舞役、高橋ユウさんの殺陣が印象的でした。
若嶌との殺陣シーンが何度かあり、立ち回りが女性なのに凄く鋭くて思わず見入ってしまいます。
細い素早い美しい。ステキでした。
得物を携えた殺陣も魅力的ですが、素手の殺陣も素晴らしかったです。
一押しキャスト
平野さんはもっと泥酔感を出しても良かったと思うんです!!
大鳳役佐野大樹さん
ニートです。しかし偉そう。
『オズからの招待状』でも感じましたが、相変わらずちょっとしたところで話の流れをぶった切る、「間」が凄くお上手です。
進藤学さん演じる若嶌が輝馬さん演じる寺尾を探しにきた一行を追い詰める場面。
泥酔していて覚えていない間にやらかした、若嶌から剥ぎ取った高そうなジャケットを返そうと申し出る、そのタイミングが絶妙なんですよね。
空気読めなすぎて逆に空気読んでるよね!?と言いたくなります。
今回特に笑ったのが、寺尾が「銃に撃たれている」の情報の真相。
敵対するポジションにいた若嶌が銃を扱っていたので、寺尾を撃ったのは若嶌かと思うじゃないですか。
実際に撃ったのは若嶌が構えている銃を「本物?wwwマジで??www」と面白がって近づき、寺尾に向け、うっかり発砲した大鳳でした。
このニート本当どうしようもない………笑
ムードメーカー的なキャラクターを演じられている大樹さんをお見かけすることが多いので、是非とも他のキャラクターの大樹さんも拝見したいです。
佐野瑞樹さん
佐野瑞樹さんをちゃんと舞台上でお見かけするのは多分初めてです。
今回の『そして、今夜もニコラシカ!』で瑞樹さんは何役も演じられてます。
一人の役者さんが何役か演じる舞台はあります。最近見た中では『美女と魔物のバッティングセンター』も一人一役が絶対ではありませんでした。
しかし今回のように他の方が一役しかない中で、ただ一人何役も演じられる舞台というのはあまり観ないもので新鮮でした。
バーのマスター、若嶌のボディガード、ホームレス、女装バーのママ(これ瑞樹さんですよね……!?)、自分の新車を乗っ取られる男、教会の神使、動物園飼育員のおじさん……
ざっと思い出しただけでも7役演じられてました。
今舞台では高頭と大鳳が寺尾を探す、という前提で話が進んでいきますので、平野さんと大樹さんは舞台上にほぼ出ずっぱりなのですが、二人と同じくらいに瑞樹さんも舞台に立たれていました。
改めて振り返るとそう感じられますが、終わってすぐは「平野氏と大樹っちゃん大変そう!ずっと舞台上にいた!」という感想ばかりでした。
瑞樹さんのことが全然頭になかったですごめんなさい\(^o^)/
というのもですね!
瑞樹さんが怪人二十面相かのごとくの役の変わり様でしたので、あまり誰か一人のキャラクターの印象がなかったんですよ!
観劇中はキャラクターとしての動きやストーリーを追っていたので、中の人を意識して観てませんでした。
振り返ると「あれ……瑞樹さんずっといたんじゃない……?」とじわじわ心当たりが思い浮かびます。
佐野瑞樹さん、『そして、今夜もニコラシカ!』で目立ったキャラクターとしては登場しておりませんでしたが、その七変化振りを見る限り、『影の主役』といえるのではないでしょうか。
「ニコラシカ」ご紹介
折角なので作品名にもなっているニコラシカをご紹介します。
「ニコラシカ」材料
- ブランデー
- レモン
- 砂糖
以上です。
なんてシンプル!そして嫌な予感しかしない!笑
「ニコラシカ」レシピ
- ブランデーをグラスに注ぎます。
- 厚めに輪切りしたレモンでグラスに蓋をします。
- 蓋をしたレモンの上にお好みの量で砂糖を盛ります。
………ウェーイ!ニコラシカー!
ブランデーロックとかそんな話じゃないですよストレートですよそりゃ記憶飛びますよ!
分類的にはカクテルらしいですが、アルコール度数半端なさそう……。
「ニコラシカ」飲み方
- レモンの両端を持って砂糖を挟み込むように二つ折りにします。
- そのまま口に入れて噛みます。さらに噛みます。
- レモンの酸味と砂糖の甘みが口の中で混ざり合ったらブランデーを一気に流し込みます。
私お酒そこまで弱いほうではありませんが、進んで「呑もうぜ!」とは思えないお酒。
調べれば調べるほど敬遠せざるをえません。
「ニコラシカ」カクテル言葉
お酒にも花のようにカクテル言葉があるとのこと。
ニコラシカのカクテル言葉は「決心」、「覚悟を決めて」。
『そして、今夜もニコラシカ!』では高頭、大鳳が留置場から釈放された後、最初は寺尾を探すことを渋っていましたが、他の人の話を聞いていくうちに真実を知りたい、と「決心」します。
こういった心情の変化としてもニコラシカはぴったり。
ただ強いだけのお酒、というわけではなくて、ストーリーの中での登場人物の心情とカクテル言葉がリンクしているのはとても素敵ですよね。
公演概要
WBB vol.6 『そして、今夜もニコラシカ!』
2014年6月13日(金)~22日(日)@東京:東京芸術劇場 シアターウエスト
スタッフ
作:佐野大樹
演出:徳尾浩司(とくお組)
キャスト
佐野大樹 / 平野 良 / 前山剛久 /
進藤 学 / 輝馬 / 高橋ユウ / 富田昌則 / 米田京平 / 石橋大将 /
佐野瑞樹
ストーリー
――ある朝。
高頭、大鳳の二人が目覚めるとそこは留置場。
「え!? なんで? 普通に飲んでただけなのに…」
しかも一緒に飲んでいたはずの寺尾は??
「痛ててっ!!」…っていうか、俺たち、服もボロボロだし、なんで傷だらけ!?留置場を出た二人は、記憶を辿りながら、昨晩飲んでいたバーに向かう。
すると、謎の女性が、血相を変えて二人のもとに現れる。
「ちょっと! 寺尾はどこよ! 今すぐ寺尾を出して! さもないと…」
俺たちは何も答えられず、ただ呆然と立ち尽くしていた。昨晩、俺たちの身に一体何が!? 寺尾は何をやったのか!?
おぼろげな記憶を紐解きながら、スリルとサスペンスな旅が今、始まろうとしていた!
(公式サイトより引用)
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