すっかりお馴染みのアイアシアターで上演された、『帝一の國』最終章を観劇してきました。
漫画よりも舞台が早い結末を迎えた『帝一の國』、以下はネタバレ含みながらの感想(レポ)です。まだ観劇されていない方はご注意ください!
學蘭歌劇 『帝一の國』感想はこちら
感想
新鮮な気持ちで観劇しようと、現在連載中のストーリーもしっかり頭に入れないままに観劇。
帝一の出落ち感に最初から爆笑してしまいましたが最後はほろりと涙しました。
今作では前作や前々作のような日替わりの出し物大会のようなものはありませんでしたが、東郷菊馬が日替わり的に大変活躍していたので心で拝みました……ありがとうございます……。
日替わりではないのですが、今作も投入された細貝さんの松葉杖きりん登場シーンで制作の鬼畜さを感じました。
カンパニーの仲がいいからできるネタですよね!そう信じてます!笑
好きなシーン
東郷菊馬以外で印象深かった場面をご紹介。
冒頭の帝一、美美子、弾、光明で遊びにきているシーン
初めから大笑いしてしまいました。
何が面白いって、4人で遊びにきているシーンなのになぜか帝一だけ一人遊びをしているんですよね……。
帝一以外の3名がボールで遊んでいるかと思えば、帝一だけ一人テニス。
ゴムがついていて戻ってくるタイプの、一人テニス練習によく使われる……ほら、リョーマと千石が初めて会ったときにリョーマが使っていたあれです。
これまでのあらすじを説明するようなモノローグが入っていた気がするのですが、いかんせん個人行動をとる帝一がツボすぎてwwwモノローグ一切聞けていないですwww
下手でテニスしていたかと思ったら、今度は上手で同じように3対1の構図になるのが面白すぎてダメでした……最初から笑いすぎて、その後美美子の台詞になっても中々気持ちを切り替えられずに笑いを堪えるので必死でした。
海帝祭のダンスシーン
原嶋くん!!!可愛い!!!!!
というのも推していきたい海帝祭のダンスシーン、原嶋くんは帝一の妹夢子として舞台上に登場します。
念のためにもう一度書きます、妹役です。つまり女装です。
原嶋くんの女装は『夜の姉妹』でも拝見して記憶に新しいのですが、この女装もとても可愛らしかった……。
ダンスのお相手をしていた弾と帝一がただただ羨ましい限りです。
美美子と妹ちゃん(原嶋くん)、女の子同士きゃっきゃと仲良くしている様子が目の保養になりました。女の子同士という字面で思い浮かべるあの笑顔たちの違和感のなさ。
原嶋くんがニコニコしているのを見ると幸せな気持ちになります。このシーン、オペラグラスで原嶋くんを追いかけて、ずっと幸せな気持ちになれました。
帝一VS父譲介
帝一はしばしば父譲介の背中に彫られた毘沙門天様にヒントをもらい、逆境を乗り越えます。
その毘沙門天様が知恵を授けた後、ほぼ必ずと言っていいほど譲介は「毘沙門天様がきたの?」ととぼけるんです。
そのレパートリーというか、あからさまに帝一を笑わせにいっている感じが最高に好きwww
帝一が笑いを堪えている様子に、こちらもつられて笑ってしまいそうになります。
笑いを堪えながらも父からの純粋な問いかけに対して「……はい!」と返事を絞り出すのがとても大変そうwww
そのシーンが終わった後の帝一の一言が、帝一というより木村さんの本心なんだろうなとw
前作同様、公演を重ねるにつれて譲介役大堀さんのエンジンがかかってくるようなので最後まで笑いを堪えきって欲しいものです。頑張れ帝一!
光明VS根津くん
天照霊波救世教の潜入捜査をしていた光明ですが、捕まって洗脳されてしまいます。
帝一を心から慕っていた光明が帝一に興味を失い、むしろ嫌悪感さえ抱きました。
そんな洗脳された光明が付き従う相手、それは帝一の因縁のライバル東郷菊馬でした。
一見すると「恋人かな??」と錯覚するぐらいにぴったり菊馬に寄り添う光明と、得意げに「っは!残念だったな帝一ぃ!」と見下し笑う菊馬。
そうなると菊馬の側近、根津くんが可哀想なんですよね……!
根津くんがさりげなく菊馬に近付こうとしても、菊馬の死角で光明から足蹴りを喰らう始末。
というか洗脳前の光明なら、「帝一カッコいいよね♡一緒に帝一を振り向かせられるように頑張ろ!」と恋敵でさえも鼓舞してしまいそうな印象でしたが、洗脳後の光明はライバルは躊躇なく蹴り落としていく腹黒さを感じました。
洗脳後の光明のやり方は応援できない……!断然根津くんに頑張って欲しいところ……根津くん!頑張って!!
とはいっても、光明(洗脳中)に根津くん惨敗。
しかし光明の洗脳が解けた後、菊馬から根津くんに向けて「やっぱりお前じゃないとダメだな」のニュアンス台詞が飛び出します。これだから二組は!!!
気になりキャスト
久我くんと玲ちゃんの歌が甘酸っぱくてとても可愛かったんですけど、オールランダーズのぎたろーさんをついつい目で追ってしまいそのとき観たいキャストさん<ぎたろーさんで観てしまいました……。
ぎたろーさんはズルいです!wすごくいいキャラしてました!w
東郷菊馬役吉川純広さん
東郷菊馬の全てが愛おしい。
今回、生徒会長候補でありながら高天原蒜山、そして野々宮裕次郎の言いなりになっている東郷菊馬。
瑠流可たちオシャレ番長が改造制服を高天原と野々宮に用意するのですが、「俺のは?」と自分の改造制服がないのをしきりに確認して無視される菊馬がとても不憫でした。
調子に乗って人(帝一)をバカにするときの笑い方もすごく好きなのですが、可哀想な菊馬もとても母性本能擽られます。もう菊馬ってだけで可愛い。
ちなみに菊馬の笑い方の特徴としては、「は」の鼻笑いをする前に促音が入ってるんですよね。「っは!」。この笑い方に加え、背がそこまで高くないのに上から見下し笑ってくるのがとても好き。
また、ミュージカルといえば歌とダンスですが、菊馬のダンス、きれっきれ!きれっきれなんですよ!!
髪がさらさらなのでダンスによりぴょんぴょん跳ねる髪がとても可愛らしい。
ただ残念なのが今回菊馬は敵、言ってしまうと悪ポジションにいることが多いので、帝一たち正義サイドが皆で踊るシーンでいないことが多いんですよね……!菊馬のマイムマイム、観ているこちらが楽しくなるから大好きなのに……!
帝一と菊馬、二人を物語る5文字の関係
生徒会長選挙、東郷菊馬支持の1年生二人の悪事が明るみになり、帝一と弾の一騎打ちに。
弾が一票差で優勢の場面、菊馬と根津くんは帝一に投票します。
「何故?」と問う帝一に対して東郷菊馬は「腐れ縁、それだけだ」と。
海帝高校生徒会長選挙、むしろ高校入学以前から何かと競い合っていた帝一と菊馬。お互いに蹴落としあいながらも肝心なところでは助けてしまう。この関係を菊馬の口からたったの5文字で表現されて、はっと息を呑みました。
「腐れ縁(くされえん)」、この単語は今作のホットワードです。
菊馬的見所シーン箇条書き
- 不純異性交遊調査結果を蒜山から伝えられ、キャラぶれする蒜山に笑いを堪える菊馬
- 眼鏡を外された美少年菊馬
- 耽美のポージングが美目麗しい菊馬
- 魅惑の妖精キクマ・ド・サド誕生時の日替わりネタ
- 移動式の椅子を滑らせ、片付けをしつつはしゃぐ菊馬
- 素肌に学ランを着用する菊馬
- ルルカとミッチェルにぐしゃぐしゃにされた髪を根津くんに直してもらい、尚且つ化粧を落としてもらう菊馬
- しかし次のシーンまでに化粧落としが間に合わず、評議会に乱れた恰好で参加する菊馬
- 帝一と弾の不純異性交遊を鬼の首を取ったように問い詰める菊馬
- テンションが上がりすぎて上手と下手を往復する菊馬
- 宙を舞う菊馬人形
- シルク・ド・キクマによる世界の終わり(ドラゲナイ)
- 映像の森園先輩(大きい)に突っ込みをいれる菊馬
- 人形森園先輩の台詞に相槌を入れる菊馬
- ダンスタイムに参加したくてうずうずする菊馬
- しかし蒜山の「くだらない」の一言でしぶしぶはけていく菊馬
- ヒルとユウが結束するシーン、蚊帳の外ながらも会話に参加しようとする菊馬
- マヨネーズの歌、マヨネーズ発砲する仕草でいい笑顔の菊馬
- 蒜山がかつらを取る着替えシーン、笑いを堪え顔を引き締める菊馬
- 自分の改造制服がないのを頻りに確認する菊馬
- 帝一に暴力を振るわれた光明を気遣い、敵ながらも匿う菊馬
- 光明救出作戦のメンバーに捉えられ、蒜山に助けを求める菊馬
- 耳栓を所望する菊馬
- 光明を侍らせてドヤ顔をする菊馬
- 生徒会長の座が絶望的なのを悟り、弾ではなく帝一に投票した菊馬
- やっぱりお前が一番だと根津くんの大切さを再認識する菊馬
- 最後の曲で何だかんだ仲が良さそうな菊馬と帝一
- 幕が下りる際のお辞儀が美しい東郷菊馬
お腹に「背中」の文字は意味がわからなすぎて爆笑しました。
2回目観劇時によくよく見ると素肌ではなかったのですが、胸の辺りは完全素肌だったので素肌ということにしてください。
3Pに食いつきすぎだよ!!笑
トランシーバーを持ちながら!あのセカオワを!!(元ネタよくわからなくてピンとこなかったのが無念です)
ちょっとした間奏でぴょんぴょん飛び跳ねる菊馬が可愛くて入信不可避でした。すごく楽しそうなのもツボでした可愛い。
蒜山の後ろで既に踊り始め、一緒に踊ろうといわんばかりに蒜山に手を差し伸べているのが堪らなく可愛い
蒜山と野々宮、手を取り合う前は険悪そうな雰囲気。しかしがっしり握手する場面で二人の間をウロウロする仕草が女子っぽいです。可愛い。
帝一に対しては性格がねじ曲がっていても、実は仲間想いの一面が見てとれますね。
くされえん(尊い)
帝一、光明、菊馬の3人がセンターにいるときに耽美ポーズを決めていた菊馬とても可愛い
右手を胸に添えてするお辞儀なんですけれど、美しい以外の言葉が出てきません。
こうして挙げると全然覚えていないのが悔しいですね……。ぼんやりと時系列で並べたつもりですが多少前後していそう。
思い出せないのがとても悲しいので、どうかあなたの「ここは忘れちゃいけないよ!」菊馬シーンを私めにお教えくださいませ……!
備忘録
海帝祭の東郷菊馬がとても可愛い画像つきでご紹介されているコミックナタリーさんのゲネプロレポ呟きをそっと貼っておきますね。
舞台「帝一の國」最終章が開幕!原作より先にラストダンスを見届けよ https://t.co/mmOGHrvcZO pic.twitter.com/c4WEmeYfBG
— コミックナタリー (@comic_natalie) 2016年3月17日
久我信士役佐藤流司さん
原作同様、若干童顔フェイスなのに男らしいギャップがツボでした。
弱い者を放っておけない久我くんがカッコよくてですね……!
玲ちゃんを赤場派に取り込むために立ち上げた劇団帝一、ルーム長として不純な行為を続ける玲ちゃんを責める帝一。
弱った玲ちゃんを久我くんが救って一件落着……と、そんなに上手く帝一の思惑通りに事は進みません。
「玲がこうなったのは俺のせいだ。俺がルーム長を辞める!!」と自らが犠牲になってでも己の行動の責任をとろうとする久我くん。
玲ちゃんは久我くんの本心を聞いて、そしてその行動の男らしさに惚れ直して無事赤場派へ。赤場派というか完全に久我派なんですけれども!
その後の東郷派を抜けたい瑠流可と光家を誘う様も、玲ちゃんじゃなくとも惚れてしまいそうでした。「俺が守ってやる」って……!ていうかその台詞生徒会長候補の帝一が言うべきでは!帝一しっかり!!
また、久我くんではない佐藤流司さん的な見所でいうと、野々宮と美美子のチキボンの歌で女装してバックダンサーを務めていました。
ちょっと昔風パーマのニット帽ワンピース女子、とても可愛かった……!ミニスカで、裾を抑えながら踊る様子に思わずオペラグラスですよね!!
帝一の國
帝一にとっての“帝一の國”は、海帝高校生徒会長になり、ゆくゆくは総理大臣となって日本を世界一の国にすること。
しかしこの最終章『帝一の國』のクライマックス、生徒会長は大鷹弾に決まります。
何度も帝一に降りかかる試練、困難の中、帝一は不屈の精神で立ち上がってきました。
勝てたはずの生徒会長選挙ですが、最終的に帝一の票により弾を生徒会長に当選させました。
作中、「思い返すと敗北が多かった」というようなニュアンスの歌詞がありました。
確かに、帝一ってあまり勝利しているイメージがないんですよね。
勝ちを確信した結果策に溺れて敗北、帝一は敗北したものの光明を中心とした周囲のフォローのおかげで辛勝、負けたと思ったけれども結果的に辛勝……。
原作を読まずに思い返しても、帝一に完全勝利の印象が一切ありませんでした。
敗北続きの帝一が勝利を収めてきたのは偏に光明のおかげでしょう。
今回帝一が人間的に大きく成長できたのは、これまで陰で支えてくれた光明が帝一の傍を離れたから。
ずっと近くで支えてくれた光明がいなくなったことで自殺を図り、生まれ変わった帝一。父と同じように毘沙門天様を背負ったことで精神的に一回りも二回りも大きくなりました。
「生徒会長は僕じゃなくて大鷹が相応しい。僕は生徒会長選挙を辞退する」と、元恋人美美子との結婚もかかっている選挙を帝一は辞退します。
帝一が生徒会長選挙を辞退……どころか生きる意思を失ったこともありますが、今回の辞退は以前の“逃げ”ではなく前向きな辞退のように思えました。
他人のための選挙活動、そして学費が払えない弾を助けるため奔走する帝一に周囲の人間も心を動かされます。
初めの頃は己の野望、打算で動いていた帝一ですが、最終章では他者のために行動できる帝一に成長しました。
帝一にとって全てと言っても過言ではない、「海帝高校の生徒会長になる」ことが実現しなかった衝撃のラスト。
ずっとひとつの夢を追い続けてきた帝一が、夢を置いたことでそれまで見えなかった広い視野を持てたのかな、と。
帝一にとって沢山の経験やかけがえのない仲間、その帝一を築き支えるものたちに帝一がようやく気付いた、さっぱりと気持ちのよいラストでした。
公演概要
【最終章】學蘭歌劇『帝一の國』-血戦のラストダンス-
2016年3月17日(木)~27日(日)@東京:AiiA 2.5 Theater Tokyo
スタッフ
原作:古屋兎丸『帝一の國』(集英社・「ジャンプSQ.」連載)
脚本:喜安浩平
演出:小林顕作
キャスト
赤場帝一役:木村 了
大鷹 弾役:入江甚儀
榊原光明役:三津谷 亮
東郷菊馬役:吉川純広
根津二四三役:谷戸亮太
成田瑠流可役:細貝 圭
光家吾朗役:冨森ジャスティン
野々宮裕次郎役:市川知宏
夢島 玲役:佐藤永典
久我信士役:佐藤流司
羽入慎之助役:原嶋元久
高天原蒜山役:瀬戸祐介
森園億人役:大河元気※映像出演
白鳥美美子役:井上小百合(乃木坂46)、樋口日奈(乃木坂46)
※Wキャスト
オールラウンダーズ:今奈良孝行、竹内 寿、中谷 竜、ぎたろー
オールラウンダーズ:平沼紀久
赤場譲介役:大堀こういち
ストーリー
【最終章】學蘭歌劇 『帝一の國』-血戦のラストダンス-
波乱尽くしの学園政権闘争歌劇、ついに完結!
(公式サイトより引用)
公演公式サイトはこちら