下北沢のカフェVIZZ (ヴィズ)さんで公演されている朝劇を観に行ってきました。
土日各朝9時から9時45分の短いお芝居を楽しめ、観劇前後には朝食とドリンクを頂けます。
今回観に行った「リブ・リブ・リブ」は2014年5月から上演されているロングラン作品。約1年間!凄い!
また、日曜日上演演目である「下北LOVER」は「リブ・リブ・リブ」の続編物とのこと。
「下北LOVER」だけでも楽しめるそうですが、「リブ・リブ・リブ」を観ればより楽しめるそうです。
「リブ・リブ・リブ」の演目は2015年5月で終わりとのことですが、朝劇の試みそのものがとても良かったので是非沢山の方に観に行って欲しいです。
ネタバレは途中から!
常連さん役の宮原さんがお休みだったので、代役で原さんがご出演されていました。宮原さんの常連さんも観たかったなぁ……!
先にご紹介します!
下北ブロイラーさんがとても詳しく朝劇下北沢の雰囲気を綴られています。
こちら読まれたら絶対行きたくなること請け合いです。
朝劇で朝食を!?オードリーもびっくり、朝カフェと下北と演劇と。 | 下北沢ブロイラー
朝劇とは
公式サイトのキャッチコピーは「おいしい朝食とお芝居で、1日の幕開けを!」。
カフェを貸し切り、自由席。
個人的な感覚としては、壁際の席で店内全体を見渡せた方がお芝居が観易いのかな……!と感じました。
カウンター前の向かい合う席に友人と座ったのですが、店長さんと常連さんのやり取りでどっち観ればいいのかわからず、すごくキョロキョロしてしまいました。恥ずかしい!
観劇後には役者さんと語らいを
観劇後、それぞれのテーブルに役者さんたちがご挨拶にいらっしゃいます。
話し下手なのでとても緊張してしまいました……!
店長さん役の村上さん、朝劇が始まる前にカウンターでドリンク提供をしていらっしゃったので、てっきり本物の店員さんかと思っていたことを見破られていました。ごめんなさい!
寺田さんはとても可愛らしくて普通にお話することさえとても緊張してしまいました。
原さんと渡辺さんにはお願いをして、ツーショットでお写真を撮らせていただきました。ありがとうございますデータを家宝にします。
ハイタッチで「いってらっしゃい!」のお見送り
朝劇の余韻に浸り、役者さんたちに感想をお伝えできたところで帰り支度。
お店を出る際、「いってらっしゃーい!」と元気な挨拶とハイタッチで見送ってもらえます。
朝から良い作品を観られて幸せな気分で、更に笑顔で見送ってもらい、しかもまだお休みの午前中ですよ!何でもできてしまいますね!
作品感想
とても良かったです!心がほっこりする作品。
物語がカフェ内でのお話。
実際、劇場でなくカフェをそのまま貸し切ってお芝居が進められているので、臨場感に溢れています。
お話の中の常連さんだけでなく、私たち観客も皆常連になった気分。
演者の来店、退店シーンもお店の出入り口を使って出入りしたり、トイレまで舞台の一部で利用されます。普段見ない形式なのでとても新鮮!
舞台観劇が趣味じゃない友人も連れて行きたい作品
普段から(若手俳優中心の)観劇を趣味としている方だけでなく、舞台を観に行かないような友人も是非連れてきたいと思える作品でした。
今回一緒に行ったのが、朝劇からのママ僕ハシゴを快諾してくれた友人。
私自身普段ミュキャス中心の舞台しか行かないですし、友人も同様で、誘った手前お気に召してもらえるか大変心配だったのですが、観劇後に目をキラキラさせて「早起きして良かった!」と言ってもらえました。
急遽代役、ピンチヒッターは……!?
「リブ・リブ・リブ」、登場人物は4人。
店長さん、常連さん、お兄さんと妹さん。
いつもは常連さんを演じている宮原将護さんが急遽お休みとのことだったので、代役に脚本と演出をされている原将明さんが出演されました。
なんという……私得……!!
そもそもこの朝劇を観に行こうと思い立ったのも、Twitterのフォロワーさんが原さんをフォローされていて、原さんのツイートが私のタイムラインに流れてきたのがキッカケ。
この朝劇下北沢に原さんと、渡辺コウジさん(旧芸名渡部紘士さん)のお二方が携わっていると聞いて居ても立ってもいられなくなりました。
というのも皆様ご存知ですかね……!このおふたり、テニミュ青学3代目の堀尾とタカさん(河村)を演じてらっしゃったんですよ……!
常々「私の青春は3代目」と宣言するくらいには3代目は思い出深く、私の人格形成に大きく影響を及ぼしています。多感な時期にテニミュどっぷりでしたからね!
そんな私の青春どストライクのお二人が関わるなんて観に行くしかない、と勢いでチケットを申し込みました。
流石原さん、初めて「リブ・リブ・リブ」を観劇する人に代役を思わせない熱演っぷり。
このお話の常連さんは漫画を紙芝居のように朗読するパフォーマー、漫読家でもあります。
私の見た回では『テニスの王子様』の漫読をしてくださってですね……!私のテンションの昂り!!実際にテニミュに出てた方がテニプリの一場面を漫読してくださるんですよ!!思わず友人と目配せしてしまいました(ちなみ全国立海戦手塚VS真田の「向こうに入らんかーっ!!」シーンの漫読。感無量です)。
私は漫読というパフォーマンスの存在自体、初めて耳にしたのですが、お話の中だけでなく東方力丸さんという漫読家の方が実在するんですね!
上記以外にも節々で下北沢の情報が作品内に散りばめられていて、初めての下北沢来訪でしたがもっと深く下北沢の町を知りたくなりました。
「リブ・リブ・リブ」の人間模様
売れっ子役者を目指して上京し、下北沢に暮らす兄。
妹さんはそんなお兄さんに憧れており、今度下北沢に遊びにくるらしい。
お兄さんはカッコイイ自分を見せるために今まで全く来たことがない下北沢のカフェの常連であると見栄を張り、カフェの店長と本物の常連さんを巻き込みながら展開していくお話。
渡辺コウジさん演じるお兄さんの空回りっぷりが素晴らしく、見ていて応援したくなってしまいます。
店長さんに「靴を舐めますから!!」と必死になって頼み込む様には笑ってしまいました。
常連っぽく見せるために店長さんに「コジコジ」の愛称で呼んでもらうよう頼むのもどこかズレています。可愛い。
店長さんと常連さんのやり取りも信頼し合っているからこその無礼であったり、関係性が凄く心地いい。
折角店長さんが店内に溢れるメッセージドールの説明をしているのに常連さん寝てるwww
店長さんと常連さんが阿吽の呼吸を披露するのに対し、お兄さんがその関係に絡んでくると悉く意思疎通が出来ないんですよね。常連さんのキャラ付けが韓国人ってどうしてそうなったのかとwww
お兄さんと店長さんは会って2回目、お兄さんと常連さんは初対面ですから仕方ないにしても、歯車の噛み合わなっぷりが見ていて逆に清々しかったです。
カッコ悪いお兄ちゃんがカッコいい
お兄さんが考える「理想の兄」像と、妹さんの尊敬するお兄さん像の食い違いがありました。
お兄さん的には「上京して下北に染まる俺」が妹の憧れ、という認識でしたが、妹さんはそんなお兄さんを求めたわけではありません。
役者を志し、何度もオーディションを受けて、落ちて、それでもめげずにまたオーディションを受けて。
失敗しても何度も立ち向かっていくその姿がカッコいいのだと。
夢を曲げない、何度も立ち向かう。
私なんかは打たれ弱い人間ですし、こんなカッコよくはないながらも兄がいる妹立場なので、余計妹さんに共感してしまいました。お兄ちゃんカッコいいなぁ。
また、これは勝手な希望の話にはなりますが、妹さんが「お兄ちゃんのカッコ悪いところが憧れ」ニュアンスの話をする辺り、脚本の原さん自身の気持ちであってほしいなぁ、と。
その気持ちが作品上で語られるフィクションで終わるのではなく、原さんの気持ちや想いの本心であってほしい。
妹役の寺田さんが語る台詞でしたが、私には原さんの言葉のように聞こえてなりませんでした。
テニミュをひとつのキッカケとして
直接原さんとお話できて、今昔のお話が聞けたことがとても嬉しかったです。
役者として朝劇に出演されること自体久し振りで、今は裏方をやっていらっしゃるほうが多いとのこと。
裏方にまわるキッカケの一つに、「テニミュがあった」と仰っていました。
「テニミュの日替わりで自分たちでネタを考えることがあり、それが演出に携わるひとつのキッカケでした」と。
テニミュを一つの道として、そこから新しい可能性を切り開いて生きる原さんはすごいなぁと感心しっぱなしでした。
同時に、私の大好きなテニミュがキッカケで新しい道を進んでいらっしゃることにも嬉しくなります。
勿論、新しいことだけでなく、その時の繋がりも大切になさっています。
今でも同じ青学3代目である渡辺コウジさんとお笑いコンビ、トムハウスを組んでいらっしゃるのも3代目箱推しの私としてはとても感慨深いです。
2006年8月のテニミュ1stシーズン六角戦から約8年弱。朝劇を通じ、8年前の感動と興奮を演者に直接伝えられたことが嬉しくてなりません。
観劇を他者に勧めるために私が出来ること
原さんが以前、Twitterでこんな呟きをされていました。
演劇をもっと沢山の人に観てもらいたいなら、劇場だけに閉じこもってちゃ駄目だとわかりました。もっと観に来て欲しい、じゃなくてこっちからぶつかりに行くべきのようだ。
— 原将明(トムハウス) (@haramasa1028) 2015, 5月 8
若手俳優中心舞台以外を観に行くと、関係者の多さを感じます。
例えば以前共演しただろう役者さん、ひとりの役者さんのファンで通ってらっしゃる方。一見さんでその作品や劇団を観に来る方が少ないのかなぁ、と。
私の観劇趣味は8年前のテニミュがキッカケです。生の良さを知っているからこそ、他の人にもその味わいを知ってほしい。
ただ、観劇を今までしたことがない友人に勧めるにしても、どうしても劇場まで足を運ばせる、となると中々ハードルが高くなるんですよね。
しかし朝劇は、“朝御飯も食べれるエンターテイメント”。
「ちょっと早起きして劇、観に行こうよ!朝御飯も食べれるよ!それから一日遊び倒そうよ!」の誘いがしやすいです。
大きな会社が関わっている作品や人気原作ありきの舞台以外、中々集客も難しいと思います。
そんな中で、観劇の好きな私がどうしたら他の人に観劇を勧められるか。
些細なことですが、こうしてブログを書くことや実際に観劇へ連れていくことが私の出来ること。
舞台感想以外の流入でこのサイトを訪れた方が少しでも舞台に興味を持ってもらえたら。
もしくはある作品の流入で記事を読んでいただき、他の作品にも興味を持ってもらえたら。
朝劇は後者の観劇馴染みがない方を生の芝居に連れて行く、という点でとても誘い易い試みだと感じます。
朝劇を通じて、観劇の面白さ、そして朝劇に関わる人たちの温かさに触れてもらい、少しでも演劇そのものに興味を持つ人が増えればいいなと願っています。
公演概要
朝劇 下北沢「リブ・リブ・リブ」
2014年5月25日(日)~2015年5月30日(土)@東京:下北沢「VIZZ」
スタッフ
脚本/演出:原将明(トムハウス、チャーミーゴリラ)
キャスト
宮原将護(大人の麦茶)
渡辺コウジ(トムハウス、BANANAQUEST)
寺田有希
村尾俊明(劇団5454)
ストーリー
下北沢にあるカフェ「VIZZ」、そこに訪れた一人の売れない役者。
彼は言う、
「憧れを壊したく無いんです!!」
「・・・はい?」
店長、常連を巻き込んで朝から贈る、カッコ悪い人間模様。
(原将明blog「朝劇 下北沢の情報まとめ!」より抜粋)
公演公式サイトはこちら