赤坂ACTシアターで公演の、ミュージカル「リボンの騎士」初日観劇してきました。
普段女性客の多い現場ばかりなので、男性と女性半々くらいのお客さんの比率に戦々恐々でした……!
しかし帰り際に貰える来場者記念のポストカード、「男性俳優お目当てなのに乃木坂の子引いちゃった……!」みたいな場合でも乃木坂ファンの優しいお兄さんが交換してくれます。逆もまた然り。
ランダム特典で取り合いにならないWIN-WINの交換ができる現場、とても楽しい!
以下、やんわりネタバレ有りの感想とレポです。
感想
とても面白かったです。レベル高くてどうしようかと思いました。
リボンの騎士世代ではないので、原作あらすじ全て前情報なしで観劇に臨んだのですが、ストーリーもわかりやすいし、ミュージカルに必須の歌はとても聞き取りやすいしでストレスフリーの観劇でした。
『女海賊ビアンカ』も赤坂ACTシアターで観たかったです……!
普段あまり劇を観られない方への二言
この作品、オペラグラスでの観劇が捗ります!!
というのも舞台全部をダイナミックに使うというよりか場面場面をコンパクトに使っているので、オペラグラスがあればその場面の主要シーンはほぼレンズ越しに観られるんですよね。
今回2階席のセンブロ観劇でしたがオペラグラスがあれば表情までしっかり観れますし、後方席+オペラグラスでも定価以上の満足度でした。
ああああとは!客席内での飲食は駄目です!隣のお兄さん!観劇中の動きや物音が気になってしまいました!次回よりご遠慮願います!!
唯一引っ掛かったシーン
少し残念だなと思ったのが、ジュラルミン大公がナイロンに殺されるシーン。
何が残念って、このシーンが悲劇か喜劇かわからなかったところ。個人的にもやもやしています。
登場時から殺害されるシーンまで、ジュラルミン大公がとてもいいキャラをしていたんですよね。
精神的に未熟なプラスチックとの掛け合いテンポも抜群で(プラスチックが王に即位した際の、周囲の「陛下」「陛下」の呼びかけに対してプラスチックも「陛下」と跪きジュラルミン大公に「お前だよ!」と突っ込まれてたコント感には噴出しました)、それが抜け切っていないのか殺されるシーンでも客席が笑ってしまったんですよね……。
後々プラスチックがナイロンに剣を突きつけるシーンを考えるとやっぱりあのシーンは笑うべきではなかったな、と。
それまでのジュラルミン大公の役柄を見ていると中々悲劇に見せるのは難しいと思いますが、思い返した際の違和感が大きいので千秋楽までにはなんらかの変化があったらいいな……!
気になりキャスト
皆様とても良かったんですけど特に心惹かれたお三方をご紹介。
そういえばフランツ王子がサファイアを想って歌う曲、ほとんど彼女の手のことしか言っていないんですけど手フェチなんですかね……。
サファイア役生田絵梨花さん
幕間休憩、終演後、「生田さん可愛い!」しか言葉を発せなかったです。同行者さん(女の子)は終演後サファイアブロマイド購入してました。
男装しているショートのお姿が凛々しいのですが、私はどちらかというと亜麻色ロングウィッグ着用の淡いピンクドレスお姿が好きでした。可愛い。
ストーリー的にはキスシーンぐらいあってもおかしくないように感じたんですけど、そこは乃木坂的にNG入ったのでしょうか。
フランツ王子との恋人らしい行動としては手を繋ぐ、抱擁、膝枕くらいでしょうか。
サファイアに「そこ代わって!!」というよりか、フランツ王子に嫉妬しました。フランツ羨ましい。特に白いドレス姿のサファイアにしてもらう膝枕が羨ましすぎて血の涙が出そうです。
ふたつの心を持つサファイア
成長したサファイアの初登場シーンは、剣技シーン。
圧勝し、相手への対応がとても凛々しいお姿で、男性の心が入っていると言われて違和感がありません。
しかしその後登場する王妃と乳母に対しては女の子らしい声や態度なんですよ……!可愛い!!
サファイアは男と女、ふたつの心を持って生まれ、ヘル夫人によって女の心を取り出されて男の心のみに。
ヘケートによって返された女の心、しかし男の心は押し出されて何故かプラスチックの中に。
最終的にはプラスチックに入ったサファイアの男の心は取り出され、サファイアはまた男と女のふたつの心を持つことになります。
初めはふたつの心を持つことに戸惑い、苦しんでいたサファイアが、いざ願い叶って女の心のみになってもぽっかり空いた穴をどうしたらいいのかわからずにまた苦しみます。
最後、どちらの心も受け入れて、ふたつの心を抱えて生きていくことを決意したときの晴れ晴れした表情にほっと安堵しました。
サファイアの印象深かった場面
父である王が逝去し、サファイアが男として即位をする戴冠式。
「この冠を受け取ったらもう戻れない」のような歌があって、男女の心だけでなく身分もまた、サファイアを悩ませ苦しませていて、思いのまま生きられない彼女のツラさが痛いほどに伝わってきました。
女性として生きることを諦めるのは勿論、国民を騙し続けなくてはいけなくなりますものね……。
結局ここでサファイアは自身が女であることをカミングアウトしたことで王位剥奪、国外追放になるのですが、“この場面でサファイアはどうするべきだったのか?”を考えると中々答えが見つかりません。
サファイアの心が汚れていたのなら、何も思うことなく戴冠式を滞りなく終えて王の座につくことができたのでしょう。しかし、良い子すぎるがゆえに良心の呵責を感じてしまう。
彼女の葛藤、そして彼女の純粋さが現れたとても印象深いシーンです。
ヘケート役桜井玲香さん
サファイアも可愛かったんですけど個人的にはヘケートちゃんを推していきたい次第です!!
というか乃木坂の子、どちらも可愛いし歌も上手かったのでトキめいてしまいます……可愛い女の子は正義……。
ヘケートは心を持たない魔女の娘。
気に入らないとか面倒だとか、負の感情は持つものの、誰かを好きになることはありません。
見た目が派手でイケイケなギャルっぽい感じでしたが、「マジウザい」等現代ギャルの言いそうな台詞は一切言わないのが凄く印象深かったです。
勝手なイメージですけど、魔女の娘じゃなくて人間に生まれてきていたらきっとおばあちゃんっこだったんだろうな……。
生意気だけど実は優しい系のギャル。心を持たなくてもすごく優しい子なんですよヘケートちゃんは!
そうでなければ、サファイアから取り出した女の心をサファイアに返しになんていかないし、禁断の魔法と知っていながらも自分の魔力でサファイアに心を返すなんてこと、しないと思うんです。
この世界の来世があるのなら、サファイアとヘケートには是非とも親友になって幸せな毎日を過ごしてほしい……。はっそれが乃木坂という概念……!?
ブラッド役青木玄徳さん
つね様のブラッド本当にヤバイです!!!
一幕のほぼ最後に満を持して登場し、命を狙われるサファイアを颯爽と助けるイケメンっぷり。
あまり武器名詳しくないので申し訳ないんですけど、貴族たちはレイピアを使う中で海賊ブラッドのパイレーツカトラスの際立ちよう!しかもレフティなんて……カッコいい……。
役柄的には言い方悪いですけど噛ませ犬……しかし……カッコよくて……!
剣捌きは勿論、その生き様も。好きな女と同じ毒に侵されながらも、用意できる解毒剤は一人分。
迷わずサファイアに差し出して、彼女が目覚める前に死ぬ……生き様がイケメンすぎます。好きです。
青い瞳をちゃんと追えなかったのが心残りです。そのご尊顔を間近で拝見したい……瞳に吸い込まれてしまいたい……。
ブラッド様トキメキシーン
少し適当そうな感じを見せながらも手助けを申し出るブラッド。不審がるサファイアにブラッドが本音を打ち明けるシーン。
「お前のことが……気に入ったからだ」
ってもうこれ告白じゃないですかね!?サファイアとブラッドの掛け合いが観ていて一番少女漫画を感じました!
もうひと場面、「生き別れた弟を探している」とサファイアに打ち明け、彼女から「あなたとよく似た瞳の人がいる」と返答されたシーン。
サファイアの顔を至近距離で見つめながら、
「そいつともこの距離で見つめ合ったのか?」
のシーンがとても好きでした。きっと自宅のお布団の中だったら足をばたばたさせて枕に顔を埋めてました。キスするかと思ったー!
親のエゴが子供を苦しめる作品
男の心と女の心、ふたつの心で葛藤するサファイアもすごく魅力的だったんですけど、魔女の母娘ヘル夫人とヘケートの関係について。
ヘル夫人は心を持たない娘を不憫に思い、「心があることこそ幸せ。あの子が女の心を持てるのなら、私の命など惜しくはない」と、自分の命さえ失う禁断の魔法を使う覚悟をし、サファイアから女の心を取り出そうと画策します。
対して娘のヘケートは「ちょっと興味はあるけど、心なんかいらない。私は私」と特に心を持つことに関心がありません。
ヘル夫人は娘の気持ちを汲み取ろうとせず、彼女の中の「心があることが幸せ」の定義に娘を当てはめるため、とうとう禁断の魔法を使います。
この母娘のすれ違い、どちらの気持ちも想像できてしまって胸が痛くなりました。
娘には出来る限りのことはしてあげたい。敷いたレールの上を歩くかどうか決めるのは娘自身だけれど、だからといって親がレールを敷かなくていい理由にはならない。
ヘケートも心に興味があるということは「絶対に要らない!」というわけではないと思うんです。でも、母親の命を奪ってまで心が欲しいわけじゃないんです。
魔女母娘、そしてサファイア親子やナイロンの過去回想でも感じましたが、この作品、親のエゴが強いんですよね。
子供のためを思うのか、他の何かを思って子供に都合を押し付けるのか。
魔女母娘は前者のパターンで、お互い自分を犠牲にして相手の幸せを願ってしまうから結果、どちらも幸せになれなかったのかな、と。
もっと相手の想いを汲み取ることができたなら、本音を伝えることができたなら。
魔女母娘に関しては、感情移入してしまう部分も多く、だからこそどうしたら彼女たちはすれ違わずに済んだのか、を考えずにはいられません。
公演概要
なかよし60周年記念公演 ミュージカル「リボンの騎士」
2015年11月12日(木)~17日(火)@東京:赤坂ACTシアター
2015年12月3日(木)~6日(日)@大阪:シアターBRAVA!
スタッフ
原作:手塚治虫
演出/振付:上島雪夫
脚本:浅井さやか
音楽:かみむら周平
キャスト
サファイア役:生田絵梨花(乃木坂46)
フランツ王子役:神永圭佑
海賊ブラッド役:青木玄徳
プラスチック役:赤澤燈
王妃役:池田有希子
王役:香取新一
乳母役:野口かおる
博士役:千代田信一
天使チンク役:神田愛莉
楢原じゅんや / 下道純一 / 岡崎大樹 / 畠山翔太 / 大音智海 / 牧野健太 /
後藤祐香 / 今込楓 / 松永かなみ / 弓野梨佳 / 明日香 / 鈴木裕香
ヘル夫人役:はいだしょうこ
ナイロン卿役:根本正勝
ジュラルミン大公役:八十田勇一
ヘケート役:桜井玲香(乃木坂46)
ストーリー
天使のいたずらで、男の心と女の心、
2つの心を持って生まれてきたサファイアは、
女の子なのにシルバーランドの王子として育てられる。
成長した彼女は隣国のフランツ王子に恋をし、2つの心の間でゆれうごく・・・。
我が子を国王にと目論む大公達の陰謀も知らずに、
即位式の場で自分が女の子であることを告白するサファイア。
国外追放の身となったサファイアは、危ういところを海賊ブラッドに救われ、
“リボンの騎士”となって王国にはびこる悪と闘うことを決意。
一方、魔女の館では、おてんば娘のへケートを立派な魔女にするために、
ヘル夫人がサファイアから“女の心”を抜き取ろうと
手ぐすねを引いて待っていた・・・。
(公式サイトより引用)
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